49日の次の日、箱根の星の王子さまミュージアムに行って来ました。
300以上の言語に翻訳されたにも関わらず、星の王子さまミュージアムというのは、なんと世界でここだけなのだそうです。
入場時にもらえる小さなパンフ兼案内図には「あなたの大切なものを探しにきませんか？」と書かれています。
「自分自身を見つめ直す空間で、日頃忘れてしまっている大切なことを思い出してほしい」
という運営ポリシーは、サン=テグジュペリが執筆した動機や目的がそのまま貫かれています👏
入場券のデザインはなんと24種類！
物語の引用と絵が描かれていて、24種類のうち、1種類をランダムで渡される仕組みになっています。
どれが当たるかは、お楽しみ。
巡ってきた一枚は、サン=テグジュペリからあなたへのメッセージかも(？)
わたしたちがもらったのは、#8と#9、バオバブのシーンからでした。
「バオバブは ほうっておくと とんだ さいなんになる」
ほうっておくと王子さまの星をあっという間に占拠してしまうバオバブのように、ペットロスの悲しみも、ほうっておくとじぶんの心をあっという間にいっぱいにしてしまうところでした。
展示は屋外と屋内に大きく別れています。
屋外は、美しく手入れされたお庭と、フランスの小さな町を再現した散歩道。
入り口は、あじさいの小径。
小さな王子さまの顔ほどもありそうなアナベルがみごとに咲いています。
物語に出てくるキャラクターのオブジェがところどころ、緑のなかに配置されていました。
5つ目の惑星に住む点灯夫。
6つ目の惑星に住む地理学者。
ウワバミに飲み込まれたゾウは、風見鶏に。
少しひなびた感じがいい味を出しているサン=テグジュペリ教会。
静寂に包まれた心休まる場所でした。
じつはプロポーズの隠れスポットだとか。ええーっ‼️
訪れたのは7/3でしたが、薔薇が満開。
自分の星で世話をしていた薔薇が世界で一本しかない花だと思い続けてきた王子さまは、地球に来て、ショックを受けます。
そこには、5,000本もの薔薇が咲いていたからです。
そんな王子さまに友達のキツネが諭します。
”it is the time you spent for your rose that has made her so important.”
きみが薔薇のために費やした時間、それが薔薇をこんなに大切にしたんだ。
星の王子さまは、いろいろな方が翻訳されています。対訳バージョンも仏語、英語があり、英語は仏語からの翻訳のため、何種類かあるようです。
そのなかでも、お気に入りで前回から紹介している井上久美さん監修のIBC 対訳ライブラリーから、井上さんの素敵な文章があるので、ここで引用させて下さい。
“Unconditional Love”
だれかのため、何かのために時間をかけて何かをしてあげたから、そのこと、その人が大切になるのだということです。
「何かをしてあげた」というより、自分がそうしたかったから「何かをした」というべきだと思います。
自分のチョイスで費やした時間であれば、たとえ相手が気付かなくても、感謝してくれなくても、見返りがなくても、時間やエネルギーを費やす行為自体に意味があります。
自分の時間や思いを注ぐ対象があることは幸せなことです。
Unconditional love(無条件の愛)とは、見返りを求めず、愛を注ぐことです。
その選択をするのはあなた自身ですから、そのために注いだ時間はかけがえのない時間となります。(以上、井上久美さんのコラムp.187より引用)
愛を注ぐことができるみーちゃんという対象がいてくれたことは、ほんとうに幸せなことでした。
けれども、生きて一緒に生活しているうちは色々な期待を相手に求めてしまうものです。
ペットロスの悲しみのなかで気づいたのは、みーちゃんが旅立って、本当の意味で無条件の愛を注ぐことができるようになった、ということです。
さみしいけれど、みーちゃんが幸せなら、それでいいや。
愛犬が旅立ってしまっても、できることがある。
それからもずっと同じように、それ以上に、愛すればいいんだ・・
自分が愛犬に費やしたエネルギーと時間は、かけがえのないものでした。
そしてそれこそがみーちゃんからのいちばんの贈り物だったことに気づいたのです。
すべての飼い主さんにとって、愛犬を愛するという行為には終わりはありませんよね。
無理して忘れる必要はないんだ・・
”The little prince’s true love for his flower fills my heart. His love shines from inside him, like the lamp of a light. It shines even when he is asleep…”
小さな王子さまの持つ、自分の花への本物の愛が、ぼくの心を満たす。王子さまの愛は、ランプの光みたいに、彼の内側から光を放っている。眠っている時でさえ・・
連日、ペットロスの手記ブログを読んでいた私には、悲しみの真っ只中にあっても、それより強く光る愛を放っているたくさんの飼い主さんの姿が、心に浮かびました。
それはきっと、旅立ったペットたちが地球外から見たあかつきには、飛行士だったサン=テグジュペリが夜間飛行で上空から眺めていた街の灯りのように美しいはずです。
屋外の最後の方には、物語のいちばん悲しいシーン“ヘビと王子さま”のオブジェがありました。
私がこのミュージアムに来てよかったと思ったのは、次のような文章に出会ったからです。
ヘビ
いくつかの謎めいた言葉によって、ヘビが死の使者であることが暗示されています。しかし王子さまにとって、ヘビは敵対者ではなく、もとの星に帰す役割ー補助者の役割も兼ねています。
そうか・・
みーちゃんは故郷に還ったんだ・・
そして、
家に帰ってから写真を見直すと、不思議な一枚に出くわしました。
フランスの片田舎の花屋さんを模したショーウィンドウです。
そこには、向かい側にあるオブジェ”王子さまとヘビ“が映り込んでいたのです。故郷に還るためにヘビに噛まれる覚悟をした王子さまのオブジェが、彼らの向かい側、園内の散歩道に作られた満開のあじさいの花壇とともに重なってショーウィンドウに映し出されていました。
別の角度から見れば、王子さまはすでに花に囲まれていたのです。
なんだかほっとしました。
そうだ・・みーちゃんはやっと、なつかしい故郷に還れたんだ。
大切なことを、このミュージアムに来て、教えてもらったような気がしました。
帰りには併設のレストランで、ローズティーのフローズンカクテル、ノンアルバージョンと
薔薇とりんごのロールケーキをいただきました。とても繊細な味で美味しかったです。
ウワバミのオムライスなどもあるようですヨ。
ミュージアムショップでは写真が80枚入るアルバムを購入。
なかに王子さまのイラストフレームが入っています。
これから訪れる方に前もってお知らせしたいのは、こちら。入場時にもらえるスタンプラリーの冊子。
館内で4ヶ所スタンプを押す所があり、全てのスタンプを押すと、物語の重要な骨子がひとめで理解できるようになっています。
ジュペリの絵から直接おこしたスタンプもよく出来ていました。
始めの2つは知らなくて、押し逃してしまいました。
うっかり気づかずに帰ってしまうともったいないので、入場前にまず冊子がどれか確かめてから、屋内の展示ホールではスタンプ場所がどこか探しながら鑑賞しましょう。
家に帰ってから、ふたたび物語をじっくり読み返してみました。
すると、王子さまは星空だけでなく、夕空も眺めるよう勧めていることに気づきました。
“I love watching the sunset. Let’s go watch one…”
「ぼく夕陽を見るのが大好きだよ。見に行こうよ」
“You know…when you are sad, watching the sunset makes you feel better…”
「ねぇ、知ってる・・悲しいときには夕陽を見ると気分が休まるんだ・・」
小さな王子さまの、とてもかわいい、けれども深い台詞です。
おでかけ前にチェック⬇️ 箱根サン=テグジュペリ 星の王子さまミュージアム
https://www.tbs.co.jp/l-prince/
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